京都のらりくらり日記

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鍵が無い!

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

あれは新卒で東京の会社に就職して一人暮らしを始めて2年ほどの出来事だったと思う。

 

三連休の中日の日曜日。

大学からの友達2人と桐谷美玲主演の映画を夜見に行って寿司を手繰った帰りのこと。

 

池袋駅からほろ酔いで西新宿へ向かい、

マンションの入り口に着いたところで一気に酔いが覚めた。

 

...鍵が無い😨

 

いつも右ポケットにあるはずのオートロックと部屋の鍵が着いたグアム島のキーホルダーの感覚がそこには無かった。

 

何度触っても感触は同じ。

何処で落とした?周りを見渡してもそれらしき物は落ちていなかった。

 

はじめは狼狽したが、落ち着きを取り戻し寄った寿司屋に電話。

 

...が、落とし物は届いてないとのこと。

非常に困った。

 

とここで、駐輪場に書いてある「24時間受付 管理会社」の文字。

しめた!管理会社なら予備のキーくらいあるだろう。

 

私「すいません、〇〇西新宿のxxx号室の住人ですけど、鍵を落としてしまって...予備のキーで開けて欲しいのですが...」

 

管理会社「すいません、オートロックも部屋のキーも管理会社では預かっておりません...」

 

ここで顔が段々青くなり事の重大さに気づいてきた。昨今の管理会社ではセキュリティトラブルを防ぐために鍵は全く持っていないとのこと。

 

なんてツイてない😢

 

 

 

仕方がないのでGoogleマップで近くの鍵屋に電話

 

私「すいませーん、鍵を落としたのでマンション入り口と部屋の鍵開けて欲しいんですけど...」

 

鍵屋「あー、オートロックと部屋だと別料金になるんですよねぇ。」

 

私「いかほどですか?」

 

鍵屋「4-5万円というところですかねー」

 

私「」

 

一旦考えます、と電話を切った後は

完全に酔いが醒めていた。

新卒2年目のペーペーだった当時の私にとって

5万円は大金だった。

 

半泣きになりながらもなんとかしてくれる

と思い、京都の親に電話。

 

かくかくしかじかでマンションの鍵が無い。

このままだと5万円払わないと、え?実家に予備のキーがある?

鍵を送って貰ったとしても三連休の最後と連休明け初日をネカフェからは堪える😓

それに夜行バスで帰って新幹線なら2万円で済む!

 

時刻は夜の10時半を回っていた。

新幹線は完全に終わっているが京都行きの夜行バスならまだあるだろう。

幸い新宿のバス乗り場へはタクシーで1000円とかから無い。当日の空きがあれば乗れる!

善は急げだ!親に今からバスで京都帰る!といい新宿バス乗り場へ。

 

時刻は22:50。三連休中日ということもあって夜行バスは嫌と言うほど集まっていた。

当時はバスタ新宿が無く、コクーンビルの周りにばらばらとバスが停車していた。

 

何処行きかもわからないバスの行先を確認していく。仙台、名古屋、大阪...あった!京都!

 

一軒目。見事に玉砕。

運ちゃん曰く、今日は厳しいとのこと。

 

二軒目。女性専用。

運ちゃん曰く、いつでも厳しいとのこと。

 

彷徨うこと30分。時刻は23:20。

帰る部屋がないとはこんなにも心細いとは😢

 

三件目。MKの文字。これは京都行くやろ!

自分が京都出身でMKさんにはお世話になってる!と媚びるも空いてないと謝られる😢

 

仕方ない...もうバスも無いしネカフェでも探そうとスマホを弄っていると後ろから声が。

 

「1席だけキャンセル出ました!乗りますか?」

振り向けば先程のMKの運転手さん。

 

これもうパチンコの復活大当たりやろ...

二つ返事で乗車。後で4200円頂きます...と言われて2度ビックリ。安すぎるぅ!

 

次の日の朝、京都駅に降り立った

私は実家へ向かう。

 

両親と弟が起きていて予備のキーと朝ご飯を用意しておいてくれてた。

 

とりあえずご飯を食べ、シャワー浴びさせて...といい風呂場へ。昨日から風呂に入れずバスを探し続けた汗臭い身体をサッパリさせたかった。

 

熱いシャワーを浴びて完全復活してリビングに。

何やらざわついている。

 

私「サッパリした!何かあったの?」

母「アンタ...ズボンの後ろポケット見た?」

私「勿論見たよ!...え?入ってた?」

 

 

母の手にあったのは見慣れた小さなグアム島

この時の家族の顔と笑い声を私は忘れない。